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世界的ベストセラーの人生指南書『七つの習慣』について、及び実践記録です。
七つの習慣…知性…さよならドビュッシー(中山 七里)後編
今日は、昨日の続きからです。完全にネタバレしますので、ご注意下さいね~。
昨日までのあらすじは…香月 遥は従姉妹のルシアと祖父と一緒に寝ている家で火事にあう。ルシアと祖父は亡くなり、遥は全身に大火傷を負って、顔だけは元通りに整形されたものの、声はすっかり変り、皮膚もつぎはぎだらけになった。指一本動かせない体だったが、厳しいリハビリと天才ピアニスト岬の指導を受けて、いまだ松葉杖はついているものの、ピアノが弾けるようになり、学校の代表として有名なコンクールに出場することになる。大火傷を乗り越えてピアニストをめざす高校生としてマスコミからも注目されるようになる。
祖父の遺産の半分の6億円を相続することになった遥だが、道で突き飛ばされたり、松葉杖に仕掛けをされたり命を狙われるようになる。そんな折、母親が石段から転げ落ちて亡くなった。火事から続く悲劇に、当初事故だとしていた警察が動きだす。
いよいよコンクール当日になり、無事初日の予選を通過した遥と岬を家政婦のみち子と刑事が待っていた。みち子は自分の勘違いで、遥に危害を加えようとしていたと白状し、遥に謝る。遥は混乱し説明を求めたが、岬は全ては明日の本選が終ってからで、それまではピアノの練習に没頭するように指示する。
次の日の朝刊に遥の記事が載った『全身火傷の少女 復活のピアノ』という記事だった。その日の本選でドビュッシーの『月の光』と『アラベスク第1番』を、まだ皮膚が完全
に定着してない指で、感覚を失くしながらも弾ききった遥は、ステージの脇で岬と共に結果発表を待っていた。
そして、岬が自ら推理した事件の全容を話し始めた。家政婦のみち子は遥の祖父が好きだった。そして遺産目当てに殺されたのではないかと疑いだす。さらに包帯の交換などで遥に最も身近に接していたみち子は、遥が実はルシアであることを知り、遺産目当てに祖父と従姉妹を殺したと確信し、復讐をしようとする。
母親もまた、同じ疑いを持つようになっていた。ある日石段を登り切ったところで、たまたまルシアと出くわした時、母親は激昂してルシアを非難する…遺産目当てに遥になりすまし、2人を殺したと…ルシアともみ合っているうちに母親は石段を転がり落ちて死んだ。
岬は言う『最初は歩行もままならず、指も動かせないような人が意思だけでどれだけの演奏ができるようになるか興味が沸き、僕も精いっぱい協力しようと思った。だが途中から君の正体に気がついた時、さらに大きな困難を背負っていることを知った。通常の苦痛だけではなく、自分という存在を抹殺するという不合理さも背負うことになる。聞いてみたかったんだよ。自ら安息と自由を捨てて、その上で恐怖と絶望の中から立ち上がろうとする人間がどんな音楽を奏でるのかをね』。
ルシアは、全身火傷で意識を取り戻し、全く意思の疎通ができないまま、気付けば遥の顔に整形されていたのだった。家族の期待も裏切れなかった。
火事は事故であったが、たまたまその時遥のパジャマを着ていたため、ずっと遥だと思われており、真実を語るきっかけを失っていたのだった。岬は、近いうちに警察も真実を知るだろうとみていた。
その時、遥の名が呼ばれた。優勝だった。審査委員長がステージからこちらを見て言った『私たちは、今日改めて音楽が指先ではなく、魂で奏でるものだと教えられました。貴女を表彰できることを我々は誇りに思う。我々の気持ちを受け取って下さい』。
岬は言った『審査員や聴衆は、優美なドビュッシーに込められた君の想いを受け取ったんだ。全ての傷ついた人を癒したい、全ての罪びとを赦したいという想いを。さあ、行っておいで、ピアニストとしての一歩がここから始まるんだ』。
『でも、あたしすぐに牢屋に入れられるんでしょ』。『君は少年法に守られているし、殺意もなかった。そう長くは収容されないよ』。
ルシアは思う…遥としての人生を終わらせて、ルシアとして生きる。当分はドビュッシーと遠ざかるが、いつかきっとまたピアノを弾ける日がくる。それを信じて償いの日々を生きよう。その日まで…さよなら、ドビュッシー。
…という話でした。長々と失礼しました~。
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