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七つの習慣日記243

 七つの習慣…知性…光の箱(道尾 秀介)前編

 道尾 秀介の作品は過去『向日葵の咲かない夏』、『シャドウ』、『骸の爪』、『球体の蛇』など紹介してきました。

 癖がなくて読みやすいし、ミステリーでありながら、人の深層心理の描写がうまいし、社会問題にも切り込んでいるし、若干、設定に無理がある部分もありますが、それを割り引いてもなかなか楽しめる作品が多いです。

 というわけで、今日は短編ですが、『光の箱』を紹介したいと思います。ネタばれしますよ~1002131_convert_20100213223216.jpg

 …圭介は30代前半の童話作家で、一般企業に勤めながら作品を作り続け、最近では雑誌でも特集されるようになっていた。その圭介に高校時代の同窓会の案内がきた。上京してからは地元の人間とは全く付き合ってなかったが、雑誌を見て圭介のことを知った、当時の友人の富沢からの誘いだった。

 迷った末、参加することにした圭介は、同級生だった弥生のことばかり考えていた。

 圭介には父親がなく、子供の頃は貧乏をしていた。そのことで小学校から中学校にかけてクラスで、ひどいいじめを受けていた。夜、内職をしている母親の背中を見ながら、思いついた物語をノートに書きつけることだけが唯一の楽しみだった。

 中学生の時、クラスの数人から殴る蹴るの暴力を受けていた圭介は、ある時、自分をじっと見ている女の子がいるのを知った。それが葉山弥生だった。

 彼女は真っ直ぐに圭介を見ていた。他の女の子のように、情けなさに苛立った目ではなく、痩せた犬に同情するような暗い目でもなく、ただ静かに圭介を視界の中心におさめていた。

 学校からの帰り、圭介は弥生に声をかけられる『あたし、先生に言う。きっと止めさせてくれるよ』。圭介は目をそらして言った『そういうことはしないで。たぶん、もっとひどいことをされるようになる』。弥生の圭介を見上げる目はとても辛そうだった。圭介は嬉しさの反面、どうしようもなく哀しくなった。

 『じゃあ、いっしょに絵を描かない?辛い事があっても忘れられるよ』と弥生が突然いった。『俺は絵はだめなんだ。あ、でも話なら書けるよ』。『じゃあ、一緒に絵本作ろうよ』。

 こうして放課後、圭介のアパートで圭介の書いた物語に弥生が絵を付けていった。1ヶ月後、とうとう絵本は完成し、圭介は童話作家に、弥生は画家にという夢を語り合った。

 高校になっていじめもなくなり、たまたま同じ高校になった圭介と弥生は、たまに会う関係を続けていた。弥生は家がカメラ屋だったこともあり、新しい趣味を発見していた。フラッシュ内蔵の一眼レフカメラを店に出入りしていた業者からゆずってもらっていて、どこへ行くにも持ち歩いていた。

 圭介のクラスには、弥生の親友の夏美がいた。夏美は弥生とは対照的に健康的で運動好きで、積極的だった。クラスでも圭介は夏美とかなり喋るようになっていた。1002132_convert_20100213223252.jpg

 ある時、夏美が圭介に、弥生の家に何度も行って、弥生の父親からコーヒーをご馳走になったという話をしていた。そこに弥生が通りがかり、軽く声をかけていったが、目は笑っていなかった。その日の弥生は、授業の間、ずっと机を睨みつけ、唇をかみしめていた。

 翌週になり、突然夏美は学校に来なくなった。圭介は弥生に聞いたが知らないとのことだった。担任は家庭の事情で引っ越したとしか言わなかった。そんなある日、圭介と弥生は圭介のアパートで関係を持った。

 また次の週になった時、クラスの友人の富沢が寄ってきて言った『夏美は実はいたずらされたらしい。裸の写真を撮られただけらしいんだけどな』。圭介は噂を懸念したが、広まることはなかった。

 冬休みになり、圭介は弥生をアパートに誘い、絵本を読みあったりした。その日の夜、弥生がカメラを忘れていったことに気づいた圭介は、気軽な気持ちでフィルムを現像に出した。

 翌日、弥生と会った圭介はフィルムの入ってないカメラを返して言った『これ、返すよ。俺は誰にもしゃべらない』。弥生は泣きだした。圭介は無言で背を向けその場を立ち去った。もう二度と口を利くことはないと思った。

 現像を頼んだフィルムを受け取った圭介は、自分と弥生の写真の他に、異質な3枚の写真があるのを見た。全て暗い場所でフラッシュを焚いて撮ったものだった。そこには裸の夏美がロープに縛られていた。太いロープの結び目が印象的だった。

 高校を卒業するまで、弥生とは話すことはなかった。だが、自分の弥生に対する気持ちはなぜか消えなかった。許すことはできなかったが、それでもまだ弥生のことが好きだった。

 あれから、14年が経った。同窓会出席のために滞在しているホテルのラウンジでコーヒーを飲んでいた圭介は弥生のことを考えていた。弥生は来るのか。

 ふと圭介はあることに思い当り愕然とした。自分が考えたことは、事実である可能性がある。確かめたい。いますぐ本人に会って確かめたい。圭介はホテルの外へ駈け出した。

 …またまた長くなってしまいました。続きはまた明日。どんでん返しがあるかも。お楽しみに~

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comment

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No title

ネタバレすると困るのでささーっと流し読みさせてもらいました^^;
道尾は好きな作家さんのひとりで
これからの文庫化とともに追って読もうと思っています。
彼の作風は序盤にミスリードさせ最後にどんでん返しをするのが多いですよね。
それが何ともスタイリッシュで好きです☆

Mr.サンデーさん いらっしゃい!

コメント ありがとうございます!
道尾さん、結構面白いですよね。
まったく、Mr.サンデーのおっしゃる通りだとおもいます。
ほとんど一行で本質をついていらっしゃいますね。
すごいです。Mr.サンデーさんの書評、また見させて
頂いて、勉強させていただこうと思います。
引き続き、よろしくお願いします!
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てんてんまるどん

Author:てんてんまるどん
しがないサラリーマンです。起業のきっかけに、ブログを開設しました。人生指南書として世界的ベストセラーの『七つの習慣』をテーマにしました。日々の生活においての実践の様子、関連する本なども紹介していきます。感想を交換し合いながらコミュニケーションの輪を広げたいと思っています。

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