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世界的ベストセラーの人生指南書『七つの習慣』について、及び実践記録です。
七つの習慣…知性…黄金の神と恋の射手(オー・ヘンリー)前編
貧乏生活から成りあがって富豪になったりすると、お金でできないことはないと思いがちになるようですが。一方、叶わぬ時の神頼み、まあ、僕もそうですが、なんとか超自然的な人知を越えた存在に助けてもらおうとする人もいます。
最近は、占いとか運勢とか風水などが流行っているようで、これもある種の神頼み、是非は別にしても、人は厳しい現実のみを直視してはなかなか生きていけないということだと思いますが。
今日紹介する話は、恋の悩みを解決するのは、お金か恋のキューピッドか、というテーマです。1906年の発表で、当時のニューヨークを舞台にした作品です。当時のニューヨークは交通手段は馬車が主流だったようですが、電車や自動車もあり、これらが入り乱れて通りの交通量も相当多かったようです。ストーリーは…
…貧乏な幼少時代を経て大富豪になりあがったアンソニィ・ロックウォール老人は、最近元気がない息子を呼んだ『紳士をつくるには3代かかるというが、それは間違いだ。金が紳士をつくるんだ。おまえを紳士にしたのも金だ』。『金でできないこともありますよ』憂鬱そうに、息子のリチャードは言った。
『おまえは何を悩んでいるのだ。恋の病か』。『まあ、そのようなことです。お父さん』。『なぜ、その娘に結婚を申し込まないんだ。お前なら相手は飛びついてくるだろう。金はあるし、容姿も良い。品も知性もある』。『機会がなかったんです』とリチャード。
『公園へ散歩に誘うとか、馬車で遠出をするとか、教会の帰りに家まで送ってやるとか、機会などいくらでもあるじゃないか』。『お父さんは社交界という水車を知らないんです。その娘さんは、水車を回している流れの一部なんです。彼女の時間は一分に至るまで何日も前から予定が決まっているんです』。
『わしのもっている全財産をもってしても、一人の小娘の一時間をおまえのものにすることができないというのか?』
『ぐずぐずしているうちに機会を逃してしまったんです。彼女は、明後日2年間の滞在予定で、ヨーロッパに出かけることになっているんです。二人っきりで会えるのは明日の5分間程度だけなんです』。
『明日、あの人…ミス・ラントリーはウォラックス座にお芝居を見に行くのですが、その時駅からウォラックス座まで馬車で送る役目を何とか確保したのですが、駅からだと5分で着いてしまうので、ゆっくり話す時間ないのです。1時間あれば僕の気持ちを伝えられると思うのですが、無理なんです。お金では1分でも買うことはできないんですよ』。
その夜、アンソニィの妹で、同居しているリチャードの叔母のエレンがアンソニィのところへ来て、恋する者の悩みという題目について講釈をはじめた。
『その話しだったら当人からすっかり聞いたよ。わしの全財産を使っても良いといったんだが、あいつは金なんぞ何の役にも立たないとぬかしおった。社交界の掟は億万長者でも動かせんそうだ』。
『まあ、アンソニィ、お金の力はそんなに重くはないですわ。誠の愛に関する限り、財産は何の役にも立ちませんわ。』
翌日、エレン叔母は、風変わりな古めかしい黄金の指輪を取り出して、それをリチャードにあたえた。『今夜はそれをはめて行っておくれ。あなたのお母様が私にくだすったものですよ。愛の幸運をもたらしてくれる指輪だとおっしゃっていたわ。お母様はあなたが愛する人を見つけた時に、これをあなたに渡すようにと、私におっしゃっていたのよ』。
リチャードは指輪を受け取って指輪に嵌めようとしたが入らず、チョッキのポケットにしまった。そして電話で、ミス・ラントリーを迎えにいくための馬車を呼んだ。
…さあ、叔母が授けた愛の幸運をもたらす指輪が勝つか、金の力を信じる父親が何か手を打って、事態を好転させるか。この続きは明日の、この時間にお届けします。はは。
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