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七つの習慣日記258

 七つの習慣…知性…日曜日のヤドカリ(本多 孝好)後編

 早速、昨日の続きをお届けします。昨日までは…

 …俺は、真澄とスナックで知り合い、1年前に結婚した。今は9歳になる真澄の連れ子、弥生さんと3人でくらしている。日曜日の昼間、弥生さんに殴られたという子供が父親と一緒にきた。この件は落着したが、今度は弥生さんと同年くらいの男の子が目を潤ませて、一人で訪ねてきて言った『僕のお父さん、来ていませんか?』。1002281_convert_20100228232149.jpg

 最初は全くなんのことかわからなかったが、だんだん事情がつかめてきた。男の子の名前はコイズミ マキオ。1週間前から父親がいなくなった。父親が時々手紙を書いており、その宛先がこの住所の真澄宛になっていたことを覚えていたので、来ているのではないかと思ったらしかった。

 弥生さんはカケオチではないかと言いだした。真澄は同窓会だと言って出かけていったのだったが…携帯に電話してみたが電源が入っていなかった。

 弥生さんはマキオくんに聞いた『お父さんは痩せていますか? 眼鏡をしていて、目つきは冷たい感じで、学者のように見えて、指が細くて、綺麗な字を書いて、楽器ができて、運動が嫌い。いくつあってます?』。『それ、お父さんです』とマキオは言った。

 『お父さん、非常事態だから言います。今のがお母さんの好みのタイプです』。『はあ』。『お父さんとは正反対です。でも、お母さんが元々好きなのは、そういう男の人です。前の人がそうでした』。

 真澄の前の旦那、つまり弥生さんの実の父親は、詩人になると言って会社勤めを辞めた。そして同時に真澄は夜の勤めを始めた。男には詩人の才能はなく、真澄には人を惹きつける才能があった。やがて男は耐えられなくなり家を出た…ということだと俺は思っていた。

 真澄が弥生さんを置いてカケオチすることは俺には考えられなかった。が、まったく可能性がないとも言いきれない。

 弥生さんが言う『私はお母さんを渡すつもりはありません。お父さんは、そのコイズミさんにお母さんを渡してもいいんですか?いやだったら、探して連れ戻しましょう』。俺たちは真澄が勤めるスナックのママを訪問した。

 ママによるとコイズミさんは半年前まで時々来ていたが、ある時、真澄にきっぱり断られて、その後来なくなっていた。その時、毎週日曜に遊園地で待っていると言い残していたという話だった。俺たちはその遊園地に行ってみることにした。

 遊園地の中を探していると、マキオくんが呟いた『お父さん…』そして駈け出していき、男に抱きついた。そして弥生さんも呟いた『お父さん』。1002282_convert_20100228232229.jpg

 マキオくんの父親は早くになくなり、真澄の前の旦那は再婚してコイズミという妻の姓を名乗っていた。そして、真澄の店に行ったり、手紙を書いたりしていたのは弥生に会いたいからだった。

 弥生がコイズミと話している『お父さん、ずっと弥生に会いたかったんだ。でもお母さんに会わせてもらえなかったんだ』。『仕事してないんだって?』。『ああ。いろいろやってはみたんだけど。お父さん、ほら、そういうの苦手だから』。『1週間もどこにいたの?』。『ああ、マキオに聞いたのか、仕事探しているんだけどいいのがなくて、家に帰りづらくなってね』。『また逃げるの?』

 『いや、お母さんと別れたのだって別に逃げたわけじゃないんだ。お互い別々の道を進んだ方がいいかなって思ったんだ』。『そういうのを逃げるって言うの。今やるべきことは一つだけ。家に帰ること。あの子はお父さんを失くして、また失くすことが怖くてしょうがないの。それが自分のせいじゃないかって思っているの。だからどんなに居づらくても絶対に家に帰って。そしてマキオくんをぎゅっとしてあげて。私はもう会わない』と弥生は言って、肘でコイズミの顎を打った。コイズミはベンチに叩きつけられた。

 弥生さんは俺の方を見て言った『お父さん、こんな感じでいいですか』。『はい。いいと思います』と俺は答えた。コイズミはマキオくんと一緒に帰っていった。

 夜、真澄が同窓会から帰ってきた。昔の文化祭の上映会で携帯の電源を切っていたのだった。同窓会は相当盛り上がったようだった。『二人はどうだったのよ。二人にはどんな日曜だったの?』。弥生『そうねえ、お父さんどうでした?』。俺『何というか、何てこともない、いい日曜日だったよ』。

 …という話でした。この弥生さんのように正義感が強くて、優しく、自分に厳しい小学生、いたら可愛くてしょうがないと思いますが。それでは、また~

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七つの習慣日記257

 七つの習慣…知性…日曜日のヤドカリ(本多 孝好)前編

 僕はいまだ一人暮らしで、自分の家庭というものを持ったことがないので、家庭を持った時に自分の都合をどれくらい優先したものか、まったくわかりません。きっとかなりな部分を自分よりは家族のためを考えて行動した方がいいのではないかと思いますが、とはいえ自分の勝手を完全に封印してしまうのも、自分自身が空虚になって、生きがいをなくしてしますような気がするし。

 ま、家庭を持ってみないと何とも言えませんが、この辺の家族への気配りと、自分の都合をバランスよく実行できれば、良い家庭ができるのではないかと思いますが。皆さんはどうでしょうか、自分は我慢している方だと思うか、あるいは好き勝手やっていて迷惑をかけているがやめられないとか。1002271_convert_20100228012214.jpg

 今日の話はサスペンスでもミステリーでもなく、ホームドラマのようなものです。ネタばれしますよ~

 …良く晴れた日曜日、俺はごろりと横になり空を見ていた。『何をしてるんです?』弥生さんが来て聞いた。『空を見ていました。日曜だし、どこかへ出かけますか?』。『日曜日くらいゆっくりするものです。』弥生さんは小学校5年生とは思えないしっかりした口調で言った。

 いつまで丁寧語を続けるつもりだと真澄は不満そうな顔をするが、親子を始めてまだ1年なのだ。俺にも弥生さんにもこの喋り方の方がしっくりくる。真澄が働いていたスナックで知り合い、半年後には、2つ年上の女の夫になり、9歳の女の子の父親になっていた。

 俺と弥生さんが話をしている時、家のインターフォンが鳴った。玄関には、弥生さんと同じ年頃の男の子とその父親と思しき男が立っていた。

 『何か?』俺はなるべく柔らかい口調で聞いた。俺はガタイが良くて人相が悪い。いるだけで人を威圧するらしい。証券会社の名刺を手渡すと、大体の相手は驚く。

 俺はなるべく愛想よく見える表情を作って丁寧に聞いた『何でしょう』。父親が言った『あ、私、シンジョウです。弥生ちゃんと同じ5年2組のシンジョウタクミです。私、父親です』。弥生さんはタクミ君を睨みつけていた。

 『タクミがお嬢さんに殴られたんです』。『弥生さん。本当ですか?』。俺は確認してから、拳骨を振り下ろした。弥生さんはきゃっと叫んで、頭に手を当て俺を見上げた。

 『あ、いやお父さんそんな』父親があわてて言った。『ご心配なく。今のはただのしつけですから。次が仕返しです。さ、ご遠慮なくどうぞ』。俺は弥生さんの背中を押した。1002272_convert_20100228012253.jpg

 『あ、いや、そこまでは。反省してくれれば、それで』。『そうですか。それではこれで』と俺は言った。『ごめんなさいでした』とすかさず弥生さんが頭を下げた。二人は帰っていった。

 二人が出ていくと弥生さんが笑いだした。もしタクミくんが殴ろうとしていたら俺としてはタクミくんの腕をひねり上げていただろう。そのことは弥生さんにも通じていたのだった。しかし弥生さんのしたことは笑いごとじゃなかった。

 『笑いごとじゃあないですよ。本当にグーで殴ったんですか。素手で人を殴っちゃいけません。手を痛めたらどうするんですか。手を出すなら肘でやってください』。『お父さん、喧嘩のことは怒らないんですか?』。『女の子が男の子に勝ったんです。誰も怒れません。タクミくんのお父さんの立場があったから殴りましたけど、痛くなかったでしょ』。『はい。ありがとうお父さん』。『お安い御用です』。

 『それで、なにがあったんです?』。『お母さんのことを侮辱されたんです。お前のお母さんはインバイだって』。俺は黙っているわけにはいかなくなった『弥生さん。いまからタクミ君一家を半殺しにしてきます。チョーエキに行って帰ってきますから、お母さんと二人で待っていて下さい』。『止めて下さい。もうタクミ君は、思いっきり殴りましたから』。『そうですか、では文句だけは言ってきます』。『やめて下さい。またお母さんが悪く言われます』。『じゃあ、まあお腹もすいたし、カレーでも食べますか』。

 二人で仲良く、真澄が作っていった昼食のカレーを食べていると、またインターフォンが鳴った。『殴ったのはタクミ君だけですか?』。『先週は。たぶん』。出てみると弥生さんと同年代の男の子が立っていた。思いつめた表情で、目が潤んでいた。『僕のお父さんきてませんか?』と少年は言った。

 …長くなりましたので、この続きはまた明日とさせて頂きます。それでは、また~

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七つの習慣日記256

 七つの習慣…知性…さよならドビュッシー(中山 七里)後編

  今日は、昨日の続きからです。完全にネタバレしますので、ご注意下さいね~。

 昨日までのあらすじは…香月 遥は従姉妹のルシアと祖父と一緒に寝ている家で火事にあう。ルシアと祖父は亡くなり、遥は全身に大火傷を負って、顔だけは元通りに整形されたものの、声はすっかり変り、皮膚もつぎはぎだらけになった。指一本動かせない体だったが、厳しいリハビリと天才ピアニスト岬の指導を受けて、いまだ松葉杖はついているものの、ピアノが弾けるようになり、学校の代表として有名なコンクールに出場することになる。大火傷を乗り越えてピアニストをめざす高校生としてマスコミからも注目されるようになる。1002262_convert_20100227005720.jpg

祖父の遺産の半分の6億円を相続することになった遥だが、道で突き飛ばされたり、松葉杖に仕掛けをされたり命を狙われるようになる。そんな折、母親が石段から転げ落ちて亡くなった。火事から続く悲劇に、当初事故だとしていた警察が動きだす。

いよいよコンクール当日になり、無事初日の予選を通過した遥と岬を家政婦のみち子と刑事が待っていた。みち子は自分の勘違いで、遥に危害を加えようとしていたと白状し、遥に謝る。遥は混乱し説明を求めたが、岬は全ては明日の本選が終ってからで、それまではピアノの練習に没頭するように指示する。

次の日の朝刊に遥の記事が載った『全身火傷の少女 復活のピアノ』という記事だった。その日の本選でドビュッシーの『月の光』と『アラベスク第1番』を、まだ皮膚が完全

に定着してない指で、感覚を失くしながらも弾ききった遥は、ステージの脇で岬と共に結果発表を待っていた。

 そして、岬が自ら推理した事件の全容を話し始めた。家政婦のみち子は遥の祖父が好きだった。そして遺産目当てに殺されたのではないかと疑いだす。さらに包帯の交換などで遥に最も身近に接していたみち子は、遥が実はルシアであることを知り、遺産目当てに祖父と従姉妹を殺したと確信し、復讐をしようとする。

 母親もまた、同じ疑いを持つようになっていた。ある日石段を登り切ったところで、たまたまルシアと出くわした時、母親は激昂してルシアを非難する…遺産目当てに遥になりすまし、2人を殺したと…ルシアともみ合っているうちに母親は石段を転がり落ちて死んだ。

 岬は言う『最初は歩行もままならず、指も動かせないような人が意思だけでどれだけの演奏ができるようになるか興味が沸き、僕も精いっぱい協力しようと思った。だが途中から君の正体に気がついた時、さらに大きな困難を背負っていることを知った。通常の苦痛だけではなく、自分という存在を抹殺するという不合理さも背負うことになる。聞いてみたかったんだよ。自ら安息と自由を捨てて、その上で恐怖と絶望の中から立ち上がろうとする人間がどんな音楽を奏でるのかをね』。1002261_convert_20100227005646.jpg

 ルシアは、全身火傷で意識を取り戻し、全く意思の疎通ができないまま、気付けば遥の顔に整形されていたのだった。家族の期待も裏切れなかった。

 火事は事故であったが、たまたまその時遥のパジャマを着ていたため、ずっと遥だと思われており、真実を語るきっかけを失っていたのだった。岬は、近いうちに警察も真実を知るだろうとみていた。

 その時、遥の名が呼ばれた。優勝だった。審査委員長がステージからこちらを見て言った『私たちは、今日改めて音楽が指先ではなく、魂で奏でるものだと教えられました。貴女を表彰できることを我々は誇りに思う。我々の気持ちを受け取って下さい』。

 岬は言った『審査員や聴衆は、優美なドビュッシーに込められた君の想いを受け取ったんだ。全ての傷ついた人を癒したい、全ての罪びとを赦したいという想いを。さあ、行っておいで、ピアニストとしての一歩がここから始まるんだ』。

 『でも、あたしすぐに牢屋に入れられるんでしょ』。『君は少年法に守られているし、殺意もなかった。そう長くは収容されないよ』。

 ルシアは思う…遥としての人生を終わらせて、ルシアとして生きる。当分はドビュッシーと遠ざかるが、いつかきっとまたピアノを弾ける日がくる。それを信じて償いの日々を生きよう。その日まで…さよなら、ドビュッシー。

 …という話でした。長々と失礼しました~。


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七つの習慣日記255

 七つの習慣…知性…さよならドビュッシー(中山 七里)前編

昨年、盲目のピアニスト辻井 伸行さんが最難関とされるピアノの国際コンクールで優勝して話題を呼びました。今日のお話は火事で全身火傷の重傷を負いながらもピアニストへの道を諦めない少女の話です。

  かなり感動できますが、実はサスペンスであり、最後にどんでん返しもあるという、いろいろ楽しめる作品であります。久しぶりに手に汗握る面白さでした。ネタバレするので、ご注意下さいね~。1002252_convert_20100225225657.jpg

  …香月 遥は従姉妹の片岡 ルシアと同じ中学3年生。共にピアニストを目指してレッスンに励んでいる。二人の祖父は名古屋の名だたる地主で十数億円の資産を持っており、不動産業を営んでいたが最近、脳梗塞で半身不随になり引退し、一家が住む豪邸の離れに一人で住んでいる。

  片岡 ルシアは遥の父の妹の娘で、父親の仕事の都合でインドネシアに住んでいたが、スマトラ沖地震で両親を失った。ルシアはたまたま日本に来ていて助かっており、今は遥の家族、祖父と同居していた。

  ある日、両親が出かけたので、用心のため二人は祖父の住む離れの来客用の部屋で一緒に夜を過ごすことになる。

そしてこの夜、離れは火事になり、祖父とルシアは焼死した。祖父が最近凝っていたプラモデルの塗装用シンナーがストーブに引火したことが火災の原因とされた。残った遥も一命は取り留めたものの、全身火傷を負い、顔もほとんど原型を留めていなかった。

  最初は全く体を動かす事もできず、自分の意志を伝える手段もなかったが、全身の皮膚を母の皮膚も貰って移植し、さらに顔は奇跡的に以前と全く同じに整形することができ、2ヵ月後退院することができたが…。1002251_convert_20100225225557.jpg

全身が包帯に包まれ、松葉杖が手放せず、声帯を損傷したため、声もがらがら声だった。指も最初は全く動かせなかった。

  しかし遥にはピアノしかなかった。新進気鋭の天才ピアニスト岬が遥の指導をかってでる。必死のリハビリとレッスンが続く、当初まったく動かなかった指が、岬の魔法使いのような指導で動くようになった。

  火事の前にピアノの特待生として高校入学が決まっていたものの、全身包帯で杖をついているようでは、とてもピアノは弾けないと周囲は思っていたが、激しい練習の成果がでて、学内での演奏が評価され、学校代表として有名なコンクールに出場することになる。遥は困難を乗り越えたとしてマスコミでもとりあげられるようになっていた。

 一方、祖父の遺書が公開された。遥にはピアノを続けることを条件に遺産の半分の6億円が贈られることになっていた。

 遺産を狙うものの仕業か、遥は道路で後ろから突き飛ばされたり、松葉杖に仕掛けをされたりして命を狙われるようになる。

 そんな時、近所の急勾配の石段で、母親が足を踏み外して転げ落ちて亡くなった。相次ぐ悲劇に、ついに警察が動きだす。

  岬は遥を落ち着かせるために一連の事件の犯人の見当がついていることを遥に話す。実は岬の父親は有名な検事で、岬自身も司法試験にトップで合格するなど、法曹関係者には将来を嘱望されていたのだったが、人を感動させるピアニストの道を選んでいた。

 …さあ、コンクールはどうなるか、事件は解決するのか、続きは明日お届けします。

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七つの習慣日記254

 七つの習慣…知性…いまから10分間(ジャック・リッチー)後編

 それでは早速、昨日の続きです。…ジェイムズは箱を持って市庁舎に行って、市長に面会を求めるが、事前に市長宛に脅迫状が届いていたことから、爆弾を持ってきたと間違われる。解放されて街に出たジェイムズは新聞スタンドや、市庁舎の近くにあるメトロポリタン美術館などで、爆弾を仕掛けるような言動を繰り返しながら、ホテルに戻る。

 そして、再度箱を市庁舎を訪れる。中は警官でいっぱいだったが、邪魔をされず市長室に辿りついたが、隙をつかれて箱を警官に奪われてしまう。1002242_convert_20100224224304.jpg

 またワイマーが現れて言った『おまえはまた来ると思っていたよ。そこら中で爆破すると吹聴して回っていたろう。尾行されてたんだよ。もう観念しろ』。ジェイムズは逮捕された。

 だが、その2時間後、ワイマーはある男と一緒にきて言った『ただの目ざまし時計と砂糖の袋だったよ。なんでこんなことをするんだ。もう帰ってもいいから、その代わりにこのドクターと話をしていけ』。

 ワイマーが去った後、同行していたドクターが話しかけてきた『あなたは警備体制をチェックしていたんでしょう。最初は目ざまし時計、次は目ざまし時計と火薬に見せかけた砂糖、そして最後は…』。

 ジェイムズは答える『ドカン!だな。ただやはり閉回路の押しボタンが必要だな。つまり押しボタンを押しておいて、万一警官から撃たれたら手が離れ自動的に爆発するようなやつがな』。

 ドクターは『早まらないでください。いつでも相談に乗りますから』と言って連絡先をくれた。1002241_convert_20100224224236.jpg

 翌朝、ジェイムズは10時にドクターに電話をかけた『先生、押しボタンを買ったよ。もう先生に会うこともないだろう』。『ちょっと待ってください。これから何をするんですか?』。『市長に会いに行くんだ。今日は抜かりなくやるよ』ジェイムズは一方的に電話を切った。

 ジェイムズは1時間後、タクシーに乗って市庁舎に向かったが1ブロック手前で降りた。市庁舎の前には大勢の警官と数千人のやじ馬がいた。何千の目が見つめる中、ジェイムズは突然、回れ右をして、逆方向に走り出した。そして全速力でメトロポリタン美術館に入った。

 ワイマーを先頭に、群衆が追いかけてきた。ジェイムズは言った『止まれ!これ以上近づくとこの押しボタンから手を離すぞ!』。ワイマーは建物から全員を避難させ、群衆と共に遠巻きに見つめていた。

 そして10分後、ジェイムズは外に出てきて、押しボタンを離し、箱を開け、中の目ざまし時計と砂糖をとりだして、皆に見せ、そして捨てた。

 あっという間にジェイムズは取り押さえられた。ワイマー『これは、どういう悪ふざけだ!』。ジェイムズ『俺は市長に会いたかっただけだ。何か悪い事をしたか?何か変なことを言ったか?』。

 みんなが唖然としているうちにジェイムズは悠然と去っていった。

 翌日、友人のジェフリーと落ち合ったジェイムズは満面の笑みを浮かべていた。二人の前にはユトリロとピカソ、モディリアーニの作品が7点あった。ジェフリーは美術館のトイレに隠れていて、混乱に乗じて持ち出していたのだった。

 …というような話でした。さすがに今では監視カメラなどもあるし、とてもこんなことはできないと思います。しかし、かの世界で最も有名なモナリザでさえ、1911年盗難にあっていますので、あながちない話ではないような気がします。もっとも、これだけ世間を騒がせればそれだけで捕まりますよね。 それでは、また~。

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てんてんまるどん

Author:てんてんまるどん
しがないサラリーマンです。起業のきっかけに、ブログを開設しました。人生指南書として世界的ベストセラーの『七つの習慣』をテーマにしました。日々の生活においての実践の様子、関連する本なども紹介していきます。感想を交換し合いながらコミュニケーションの輪を広げたいと思っています。

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